子どもの感性を育てる家づくり

DESIGN

子どもの感性を育てる家づくり

JAN.31.2018

時代とともに、ライフスタイルが変わり、理想とする家づくりも多様化してきました。今回お話を伺ったのは、「住まい手が描かれるデザインやライフスタイルに加え、住まい手と敷地のポテンシャルをひきだし、暮らしの中で豊かさを感じる住宅を提案していきたい」と語る、一級建築士の加藤栄蔵さん。三井ホームのオーダーメイドの家を数多く手がけてきた、これまでの経験をもとに、日々の暮らしが豊かになる、子どもの感性を育む家づくりのセオリーを2回シリーズで教えていただきます。

外と中をどうつなぐかが大切

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窓辺って心地よくないですか?窓から届く光や風、窓から眺める景色や季節の移ろい、自然を感じることで、癒され、子どもの感性が育まれます。家づくりのなかで、窓をどう切り取るか、中と外をどう繋ぐか、これがとくに大切になります。

私が設計を手がけたこの家は、眺望の恵まれた川側、素晴らしい庭のあるご実家側に大きな窓を設け、季節や自然を身近に感じられるようにしました。リビングに吹き抜けを設けたことで、大きな窓から光がふんだんに降りそそいできますし、2階にいる家族ともコミュニケーションしやすいというメリットもあります。

ご両親の敷地の一部に建てる計画だったので、両世帯の関わり方や暮らしの場面を考え、二つの建物をウッドデッキで繋ぐことを提案いたしました。ウッドデッキは外にある共通のリビングにもなり、両世帯を繋ぐ縁側にもなります。ちょっと離れた部屋のようにご両親の建物に行けることで、世帯の距離を程よく保ちながらも暮らしがつながります。

子どもたちの感性を育てる

146_content_04.jpgそして、共働きも多くなるであろうこれからは、家自体も子どもの感性を育ててくれるのが理想です。感性を育むにはいろいろなことが考えられると思いますが、まずはお子さんが楽しくなることが大切だと思います。私が以前に学んだ「子どもが楽しい建築5か条」をご紹介します。



1.回遊性がある。

2.ショートカットできる。

3.シンボルとなるものがある。

4.全体が見渡せる。

5.隠れる場所がある。



子どもは回るのが大好きです。そんな子どもたちがくるくると走り回れる回遊性のある空間では家にいながら運動量がアップします。動線をショートカット=2通りの道があることで、自分の位置や建物の風景の移り変わりを感じられます。

シンボルとなるものは、このお宅では家の目の前の桜の木。何気ない日常の中で、降り注ぐ日光と木陰を感じたり、木の葉がこすれる音を聞いたり。また、春にきれいな桜の花が咲けば、理屈で覚える以前に、五感で四季を感じることができます。

自然だけに限らず“小さい頃こんな家に住んでいた”と言えるシンボリックな何かがあるといいですね。また、子どもは高い所も大好きです。全体を見渡せることで縦と横の広がりを感じて学びます。一方で押し入れやロフトのような狭い所も大好きです。大きさを感じるとともに、皆でいる場所と個になる場所、変化に富む場所があるといいですね。

このような小さな工夫が散りばめられた家は、子どもが楽しんで暮らしているうちに知らず知らずに感性を育てていくのです。

そして、子どもが楽しい家は、もれなく大人も楽しいはずです。

家づくりの参考にしたいエッセンスをたくさん教えていただきました。次回は、キッチンや子ども部屋のセオリーを、語っていただきます。

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一級建築士 加藤栄蔵

プロフィール

1974年 東京都出身
法政大学工学部建築学科卒
建設会社を経て
1999年 ATELIER ARCHITECH入社
現在に至る

HOUSEOFTHEYEAR
2006 専用住宅部門 入選
2009 専用住宅部門 優秀賞
2013 環境設計部門 優秀賞
2014 環境設計部門 優秀賞

趣味:カフェ・温泉・建築巡り、ドライブ


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