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21世紀の陰翳礼賛 第一回「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」

DESIGN

21世紀の陰翳礼賛 第一回「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」

NOV.21.2018

1966年(昭和41年)に建築され、銀座のランドマークとして親しまれたソニービルが今年8月、『Ginza Sony Park』として生まれ変わりました。半世紀以上も銀座の風景として見慣れた、数寄屋橋交差点前のあのビルは、いまとてもコンセプチュアルな空間に変身しているのをご存知でしょうか? 

企業としての挑戦

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面白いのはここ、2020年秋までの約2年間だけの期間限定オープンなのです。普通、ビルが解体されるとそこは更地になり、やがてトタンの壁やブルーシートに覆われて新しいビルの建設工事が始まるものですが、銀座ソニーパークは元々あった建物を減築して公共のスペースとして活用しています。
100をゼロにして新しく建て替えるのではなく、工夫のある解体を行って、残ったスペースに街としての機能を持たせ銀座の公園として開放。銀座の一等地に公共的なスペースを作るという企業としての挑戦、文化創造の冒険に注目が集まっています。

元々ソニービルには“銀座の庭”というコンセプトで展開していたソニースクエアがあったのですが、ソニーパークではその概念を継承・再解釈した形で公共スペースとしての在り方が提案されています。

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フラットな地上からローワーパークへ外堀通りからの入り口。地下鉄連絡口はB2に

展開されている空間は、喩えて言えば『視点の庭』。建物を取り除いたフラットな地上部と連動する形で、地下に展開されたローワーパークは“地下”という言葉から連想される閉塞感から脱却したような空間です。

文化としての空間の創造

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元々あった駐車位置番号をそのまま活かした空間。西銀座駐車場から直接入るB3のゲームフロア。

B3の地下駐車場(西銀座駐車場)から直接ローワーパークへと繋がる部分は壁を廃し、PlayStation®のピクトグラムでデザインされたソファが配置されたゲーム空間が広がっています。投影されたプロジェクター画像をタッチして遊べる新感覚のテーブルゲームや、体験型ドライビングシミュレーターを楽しんだりできます。

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「トラヤカフェ・あんスタンド」はB3に。

このフロアにはオリジナル・ミニサイズのあんペーストを製造・販売している「トラヤカフェ・あんスタンド」も。同じくB2のイベントエリアへの動線もコンコースから仕切りなくつながった構造になっています。

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最深部B4にビアホールという意外性。「“BEER TO GO”by SPRING VALLEY BREWERY」

最深部のB4はクラフトビール&デリ「“BEER TO GO”by SPRING VALLEY BREWERY」が。屋上ビアガーデンとは正反対の立地というのも面白く、スタンド形式のビアフロアが展開されています。金曜夜には、直前まで出演者が発表されない、偶発的な音楽との出会いが楽しめる「Park Live」も開催。

遊び心あふれる様々な試み

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ここでしか手に入らないオリジナルグッズが発見できる「THE CONVENI」

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地上に置かれたエアストリームの中はFM東京のサテライトスタジオ

個人的な注目は、藤原ヒロシ氏がディレクターとして参画したコンビニエンスストアをコンセプトにしたB2フロアのショップ「THE CONVENI」。ここでしか手に入らない珍しいアイテムが揃っています。
他にも、昭和41年のソニービル建設当時のコンクリート壁面をそのまま利用したアートスペース、地上部の板張りの敷地と緑の空間、FM東京のサテライトスタジオになっているエアストリーム、さらに“買える公園”のコンセプトで植栽をプロデュースした「アヲGINZA TOKYO」のグリーンのセレクトなど、見ごたえは充分です。

受け継がれるコンセプト

解体されたビルの跡地、地下空間の概念、銀座という立地に違和感なく存在する公園、ソニーという企業の遊び心などなど、どれをとってもそのコンセプトの豊かさに刺激を受けることでしょう。21世紀の街の在り方が空想できる、学びの公園と言えるかもしれません。興味深いこの空間、2020年東京オリンピック後はどうなるのかというと、ソニービルが連綿と育んできた“公共性の概念”を継承した新ソニービルとして、2022年に竣工開始の予定だそうです。いま行かないで、いつ行きますか?

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参考:銀座ソニービル(2016年4月撮影)

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Ginza Sony Park
設計: Ginza Sony Park Project
施工: 大成建設
www.ginzasonypark.jp

<プロフィール>

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土居輝彦/ドイテルヒコ
1982年より「monoマガジン」で雑誌編集者に。1984年より2004年まで同誌編集長。その後も同誌編集ディレクターとして「Loro」、「クロムハーツマガジン」などの刊行物を多数創刊。IDSデザインコンペ副審査委員長、クールジャパン推進会議出席などモノ文化全般の視点で活動中。主な著書に「機能する道具、傑作品」、「築35年古家再生」(共にグリーンアロー刊)など。

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